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[改正派遣法6]労働安全衛生法第59条のこと

2016年02月08日

毎年6月に提出することになる新・労働者派遣事業報告書。
旧法の特定労働者派遣事業者で、実績ゼロの事業者にも当然に提出義務があります。

本日、当局に
「実績ゼロの場合省略できる項目はどこか、
あるいは、実績ゼロの場合に記載しなければならない項目の指定でも歓迎」とお問い合わせしたところ、
「ただいま検討中につきしばし待たれよ」とのご回答をいただきました。


うーむ。


もしフル回答をせねばならないとしたら、
やはり問題になるのは教育研修の部分です。

私が知る限り、OJT(職場での実地指導)も含めて、
みなさん教育研修はきちんとやられていると理解しておりますが
期限がせまったところでいきなりこの報告書に書けと言われたら、
怒りがこみ上げる方もおられると思います、はい。

そして、
実績有りの事業所ですと、もちろんフル回答なわけでして。
せめて用語説明だけでもと思い、
今回は、年度報告の(4)労働安全衛生法第59条の規定に基づく安全衛生教育について解説します。


安全衛生法59条は、雇入れ時・作業内容変更時の安全・衛生教育について定めたものです。
この項目では、就業前研修・着任研修についての記載を求めているんですね。

注釈をいれつつ、内容についてご紹介いたします。

まずは条文を参照しましょう。

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(安全衛生教育)
第59条
事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところ(注1)により、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。

2 前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。
3 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところ(注2)により、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。

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(注1)雇入れ時の教育
原則として以下の事項について教育を行わなければなりません。(労働安全衛生規則第35条)
言うなれば、以下の事項が具体的な研修内容となるわけです。

  1. 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。
  2. 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。
  3. 作業手順に関すること。
  4. 作業開始時の点検に関すること。
  5. 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。
  6. 整理、整頓及び清潔の保持に関すること。
  7. 事故時等における応急措置及び退避に関すること。
  8. 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項

(注2)特別教育
特別教育が必要な業務が労働安全衛生規則第36条に定められています。
特別教育は、行政が管理するほどではないけれど、
未研修のまま現場に出してはいけない業務を特定し、
必要な研修を事業者に義務として課しているものです。

有名なところでは「最大荷重1t未満のフォークリフト」があります。

ご存知の方も多いと思いますが
荷重1t以上のフォークリフトは法定の講習を受けなければ運転することはできません。
しかし、1t未満のフォークリフトであれば社内の特別教育だけでOK、となるわけです。


事業報告書の記載要領には
「(4)欄の①欄について、「教育の内容」については、
「4S(整理・整頓・清掃・清潔)運動」、「KY(危険予知)活動」、「ヒヤリハット事例の報告」等
具体的に記載すること。」とあります。

雇入れ時・配置転換時の就業時研修として安衛則第35条の項目を押さえた内容を実施し
「就業時研修」「着任研修」という表記ではなく、
より具体的に研修内容として記載しましょう、ということです。


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