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イグノーベル賞の論文が面白いらしい

2011年01月28日

Yahoo!ニュースで見かけた記事が面白かったので引用。

***以下、引用****

■イグノーベル賞受賞論文の驚愕の中身

「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に贈られるイグノーベル賞。今年の経営学賞は、伊カターニア大学の研究チームが受賞した。社員をランダムに昇進させたほうが組織は効率化することをシミュレーションで証明したものだ。

シミュレーションはモデルのつくり方次第で結果が変わることを承知していただいたうえで、研究内容を簡単に紹介したい。研究は、標準的な日本企業に似たモデルで行われている。160人の社員がいて、下から81、41、21、11、5、1人という6層のピラミッド型組織を想定。年齢は18歳で働きはじめ、60歳で定年となる。社員の有能度は10段階評価で平均7に設定され、有能度が4を下回ると解雇、空席は下の階層から昇進させて埋める(最下層の空席には新規採用)。

このモデルを平たく言うと、有能だった社員は、出世しても有能だろうという「常識仮説」と、階層が変われば独立した確率で有能度が決まる(ある階層で優秀だからといって、上の階層で優秀かどうかは別の話)という「ピーターの仮説」(ピーターの法則)の2つで、組織効率の変化を検証している。
ピーターの仮説とは、1969年に発表されたもので「階層社会では、すべての人は昇進を重ねても、職務遂行能力はともなわない」と指摘したものだ。たとえば、理科を教えることが上手な先生が、管理職である教頭先生になっても、教頭先生として有能かはわからないということだ。

次に、昇進者の選抜方法として「一番成績のいい社員を昇進させる」「最低の社員を昇進させる」「ランダムに昇進させる」の3つの戦略を設定した。

この2つの仮説と3つの戦略を組み合わせて6通りのシミュレーションを実施(図版参照)。常識仮説の下で、最良社員を選抜した場合は、当然、組織全体の効率は平均と比べてプラスになる。しかし、ピーターの仮説下では、最良社員を選抜していると、組織効率は平均を下回ってマイナスになってしまう。
一方、最悪社員を選抜する戦略では、常識仮説の下では、組織効率は平均を下回ってマイナスになるが、ピーターの仮説下では、最悪社員を昇進させることで、むしろ組織効率は平均を上回ってプラスになる。

しかし、どちらの仮説もありうる以上、最良社員を昇進させるのも最悪社員を昇進させるのも、組織効率がマイナスになってしまうかもしれないというリスクをともなう。
ところがランダム選抜だと、どちらの仮説の下でもプラスは小さいが、マイナスにならない。したがって、組織はランダム昇進を選択することが効率化の近道となる(と、この研究者たちは考えている)。

そもそも優秀な営業マンが優秀な営業課長になるとは限らないし、まして名社長になるわけでもない。課長には課長の、経営者には経営者の適性がある。その意味で、成果主義で人事を決めることに私は反対だ。
日本の大企業の人事担当者への聞きとりで判明したが、入社試験では、就職希望者が「現場で優秀な人材」かどうかでなく、「将来、管理職になれそうな人材」を採用する暗黙の前提がある。また人事評価も、金銭や役職で与えるのではなく、いい仕事をした人には「より大きな予算・事業」を与えることで社内のダイナミズムを生み出した。つまり仕事の報酬には仕事を与えてきたのだ。今回のイグノーベル賞は、成果主義の危険性を面白おかしく指摘し、「適材適所」の大切さを改めて痛感させてくれるものだ。

東京大学大学院教授
高橋伸夫
****引用終了****

これを笑い話で済ましてもいいわけですが、なかなか鋭いところをついている、と私は思います。
考察はまた後日に。
想定よりも1月のお仕事がHard & Heavyでして、当面、「生きて2月を迎える」をスローガンに事務所一同がんばっております。



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