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[短期集中連載1]ケースメソッドの化学反応

2012年12月26日

[ケースメソッドとは]by Kotobank
ケースメソッドとは、実際に起きた事例を教材として、
あらゆる事態に適した最善策を討議し導きだす教育手法をいいます。
社員研修などで実施する企業が増加しており、
能力開発や次世代リーダー市区性に有効な手法として注目されています。


もとはといえば、社内研修の新しい手法として取り入れられないものかと思ったのがきっかけでした。
その手の書籍を読みあさっていたとき出会ったのが、慶応義塾大学の高木晴夫先生のDVD付き書籍。
参加者が口々に言う意見を黒板に書き付けながら、誰の意見も否定しない、ただひたすら「あなたの意図はこういうこと? なんていう表現が適切? なるほどね」と淡々と相手の真意を聞き出し集約していく姿勢に心から感動したのでした。
みんなこんなふうにコミュニケーションをとれば、どれだけ建設的な会議進行になるだろうか。
日常的にもこういう姿勢でいれば、トラブルが最大限まで回避できるじゃないか。

東京出張の際十数年ぶりに再会した旧友が、某大学で、まさにこのケースメソッドを主軸に教鞭をとっていることを偶然に知り、食いつかんばかりの勢いで質問攻めにしました。
書籍の情報だけでは追いつかない部分、主にケースの分析を皆でしていく中で産まれるという化学反応というものが、つかめるようでつかめない。
「やってみたらいいよ。とてもおもしろいよ」との彼の一言で、そうか、やってみたらいいんだ、と素直に決意したワタクシです。

まずは試しにやってみることに賛同してくれる主軸メンバーが必要でした。
いろいろなお知り合いの顔が浮かびましたが、可能な限りミニマムで試行錯誤するためには、参加者の要件を限定することで共通言語と共通環境を持つ方にご協力を請い、純粋に進行形態の試行に特化するほうがよいだろうと判断しました。
そして、女性に限定してみたい。

十数年前、香川に来たとき、多くの女性と明確な意思疎通ができないかのような錯覚に陥ったことを思い出したのです。もちろんすべての女性ではありません。ただ、首都圏と比べると、意見が不明確で発言に不慣れな方に遭遇する割合が圧倒的に高かったのです。

ぼんやりと思うところはあるのだけれど、意見を求められたことがない、だから意見をまとめてみたことがない、だから的確で端的な言葉が出てこない、だから、何を言っているのかわからない。
能力が高く、表現の素養もきちんと持っているのに、だ。
思うことを的確に言葉に置き換えるすべは、生まれ持った能力ではなく、24時間365日常にそれを意識するという簡単だけれど根気のいる自発的な訓練によって身に付きます。
コレ、底上げできたら、どうなる?

まずは、この3点を満たした方をヘッドハンティングしようと方向性を決めました。
1. 高松市内で開催される勉強会に不定期でもいいから参加できて、
2. 営利団体で働く女性で(ケースを職場に限定して始めようと思ったため)、
3. 職場でのコミュニケーションスキルのアップに興味のある方(普遍的な題材を主軸にしようと思ったため)

これぞと思った方に拝み倒して参加していただき、第一回を開催しました。

ケースは、トラブルを収束しようとして送ったメールに思いもかけない冷たい返事が返ってきて、
困ってしまってワンワンワン、、、という身もフタもないものを選んだのですが、
それぞれの登場人物について意見交換していくと、それぞれ違った視点で問題点をとらえていることが判明し、
参加者全員お互いに「それは気づかなかった・・・」とぼう然とする結果となりました。

私個人の欠陥でいえば、ケース初読で「これが元凶だ!」と判断してしまうと、
他への問題意識がゼロに近くなる悪癖をイヤというほど認識させられました。
加えて、他の参加者の発言によって新たな発見が突如として立ち上がることもあり、
その瞬間は鳥肌がたつ思いでした。

まだまだ経験不足で毎回が気づきの連続ですが、継続することの効果を実感しています。

第三回は年明け1月11日の19時より、高松市内某所で開催いたします。
ご興味のある方は、事前に使用するケースをメール送信いたしますので、お気軽にご連絡ください。

****
有り難いことに、男性じゃダメですか? とのお問い合わせをいただいております。
いえ、ダメじゃないんです、ただ、現段階の我々の進行が手探りで準備が整っているか微妙な状態なだけなんです。
第三回の開催時に、参加者の方にご意見を伺ってみますので、いましばらくお時間をいただいてもいいですか?

個人的には、職場でのコミュニケーションスキルアップには性別は関係ないので、
遠くない将来、男性もご一緒に喧々囂々意見交換できるように整えていきたいと思っております。

と、いうわけで、今年始めた一番の大きなチャレンジはコレ。
現在おつき合いいただいている、私が心から尊敬している参加者のみなさん、
今年は本当にお世話になりました。来年もどうぞよろしくおつき合いくださいませ。


[短期集中連載・序]ご無沙汰のお詫び

2012年12月25日

すっかりご無沙汰してしまいました。
最近スタッフブログ更新ないのね?とご指摘賜り、大反省のもとボードを打っております。
早いもので今年もあとわずか。今年の総括は今年のうちに。
短期集中連載でこの1年のご報告と総括をさせていただきます。
今回は目次。

[新しく始めたこと]
数年前からケースメソッドにひどく心引かれており、独学で勉強していました。
古い友人が、現在某大学でケースメソッドを講義していることを偶然知り、
話を聞いているうちに、これは自分でやるしかあるまい、と勉強会を立ち上げました。
現在は、高松市内で開催される勉強会に3回に1回は参加できるかなー、という、
営利組織で働く女性で、組織の中でのコミュニケーションの突破口を見いだしたい方を対象として
広く参加者を募集しています。
・・・広くないですね、スミマセン。
勉強会自体が試行錯誤中なので、参加者のバックグラウンドを限定して混乱少ない形でテストランしています。
参加費用は当日の飲食代実費のみ♪
詳細は近日中にこちらにアップしますので、詳細お読みになって、ご興味ある方はお気軽にご連絡ください。


[今年強く思ったこと]
私の業務のひとつに、顧問先さまの採用試験時の面接官の業務があります。
その時その時で面接試験にはトレンドがあるのですが、今年は少々異例でした。
キーワードは「身の丈」。
ワタクシ常々、採用・離職とは男女関係に非常に似通ったものがあると感じております。
そりゃ誰だってあのアイドルのような、あるいはあの知的な学者先生のような、
あるいは鍛えあがったスポーツ選手のような、自分の理想の異性と恋愛したいだろーさ。
でも、それは無いセンだとみんなわかってるじゃないですか。
無理して背伸びしたって長続きしないじゃないですか。
坂の上の雲を目指すということは、坂の上まで上がり続ける覚悟がいるのですが、
今いる坂の下に本当に自分が咲く場所はないのかと探すことが第一歩ではなかろうか。
そんなことをまとめてみたいと思ってます。近日アップ予定。

[今年気づかされたこと]
愛犬が秋に仔犬を産みました。
 


母犬は非常に力の抜けた育児をするヤツで、正しい母性を教えてもらった気がします。
仔犬という生き物も、自分が生きるために必要なことだけをする連中で、痛い目をして学習していきます。
連中への接し方が一番わかってなかったのは、私でした。
過保護にしない、相手の生きる力を信じる、教育や育成はこれが基本であろう、と。
これは来年になるかも(^ ^; 私の、今一番の興味深い課題でもあります。

そんなわけで、年内に1年のツケを払ってしまおうという姑息な企画です。
よろしかったら、おつき合いください。


核エネルギーをめぐる私的な冒険・その2

2012年02月17日

 

放射線が人体に与える影響について

放射線を「一度に」大量に浴びると死亡する。
疫学調査から一度に8Sv以上を浴びると100%死亡することはわかっている。


この100%死亡という意味は即死ということではない。

国内に一度に20Svを浴びたとされる被曝者の実例がある。
東海村JCO臨界事故である。

生きている私たちの体は常に細胞が入れ替わっている。
皮膚は垢になって落ちるが、その下からは新しい皮膚が再生されている。
染色体が設計図となって細胞をコピー生産している。

放射線は染色体の異常を引き起こす力を持っている。
この被害者、被曝者の方の場合では、染色体がバラバラに破壊され、皮膚や粘膜は再生されなくなった。
正常だった皮膚が自然劣化して落ちると真皮がむき出しになり、体液が失われ続けた。

この方は中性子線を大量に浴び体内被曝も起こっていた。
体内のナトリウム23が中性子線によりナトリウム24という放射性物質に変化しさらに放射線を発生させた。

詳細は「朽ちていった命―被曝治療83日間の記録」を参照されたい。

では、今の日本の状態はというと、あのときの東海村と同じではない。

正常な自然界に比べて放射性物質は多量にあるが、
原発周辺の年間積算で200mSvと予測される「低線量被曝」の状態である。

長期間にわたり低線量被曝を続けた場合の健康被害について、
マスメディアを通じて我々の耳に入る説は大きく分けて二つある。

ひとつは積算した被曝量によって発がん性などの確率が●●%と提示されるもの、つまり健康被害があるとしている説。

もうひとつは、健康に一切影響がないとしている説。

これはどちらが正しいのか。

結論から言うと、「わからない」のである。

健康被害があるとしている説はICRPモデルの仮説を採用している意見と思われる。
つまり、高線量被曝から類推して、「おそらく」低線量でも健康に影響があるのではないかと考えているのだ。
ICRP(国際放射線防護委員会)は専門家の立場から放射線防護に関する勧告を行う民間の国際学術組織である。


ICRPモデル以外のデータを基に影響度合いを主張する学者も多いが、
我々素人から見ると、「ただいま詳細審議中」という結論しか見えない。

一方、健康被害がないと主張している根拠は、
中国・陽江やイラン・ラムサールのように高自然放射線地域が存在していることだ。
こうした地域では通常地域の3〜5倍の線量が自然に発生しており、
住民は言うなれば自然低線量被曝している。

この地域の健康被害はというと、あくまでも個人差の範囲でしか異常が発見されないのだ。
ただし、高自然放射線地域は世界的に見て多くはなく、
だから低線量被曝は安全であると断定するにはデータが少ない。

現在の日本が置かれている状況、低線量被曝の人体への影響は、正確なところ「わからない」のだ。
誰かが隠蔽しているわけではなく、情報操作をしているわけでもなく、誰も正確にわからないのである。

エラい人もエラくない人も、みんな一緒で、わからない。
この状況をふまえ、我々は一人で決めなければならない。
どこの地域に住むのか、何を食べるのか。
自分と違う決断をする人を責めず、ただ自分の方針を決定し、それに従うしかない。

結果、大きな経済的損失(不安で転居したが十数年後その土地が安全であったことが証明された場合、無駄な費用負担となる)や、
人間関係の軋み(放射線に関する意見の不一致による人間関係の変化)、
あるいは健康を損なうことがあったとしても、誰も代わってはくれない。
自分が引き受けるリスクを認識した上で自己決定し行動するしかない。

これが原発事故が引き起こした現状である。


核エネルギーをめぐる私的な冒険・その1

2012年02月17日

 

確定申告開始までにこちらの更新を、と思っていたのですが、
レジメやら企画書やら書類の作り物をコツコツとやっていたら、
ブログ書く気力が追いつきませんでした。

書きたいネタはありまして、掲題のこと。

福島第一原発の事故が起こり、今後日本はどうすべきかを自問自答したとき、
核エネルギー、つまり原発ですが、
自分がこの方面への興味と知識がほとんどなかったことに愕然とし
あわてて勉強を始めたのが昨年初夏のころ。

正確に言えば、まったく知識がなかったわけじゃない。
例えば、若い頃にパエトーンを読んで
この領域に言及した山岸凉子さんの立ち位置に不安を覚えたり、
原発ジプシーを読んで、劣悪な労働環境を選択しなければならない労働者の存在に重い気持ちになったりしたこともある。
原発礼賛者の文化人のみなさんやCMに出ているタレントのみなさんは、
闇を抱える原発に関わっちゃってるわけで、「リスクのある商売してるなあ」と思ってた。

でも、そのぐらい。

賛成でも反対でもなかった。ホントに興味なかったの。

しかし、今、この期に及んで、知らない・興味ないでは済まされない。
意見を持つためには、モヤモヤとしている部分の知識を正しく取得しなければならない。

勉強を始めたとき、まず確認したかったのは次の2点。

1. 被曝する、つまり放射線を浴びた人体はどうなるのか

原爆やチェルノブイリ事故、スリーマイル事故によって健康被害が出たということは多くの人が知っている。
でも、日常生活で我々は自然界にある放射線を浴びて生きているわけで、
少しでも浴びたらアウトってわけでもないことも知っている。

いまだに放射性物質(放射線を発する能力を持っている物質)はあの事故現場から流出し続けている。
どこまでがセーフでどこからがアウトなのか、その明確な境界を知りたい。


2. 万が一のことが起こったらすべてを失う恐れのある原発という商品を、なぜ電力会社の経営者は選択できたのか

核エネルギーの事故は他国では既に起こっている。
原爆を落とされ国民感情では核へのアレルギーがあり、かつ地震群発地域であるこの国で、
どうして原発のようなリスクある商売形態を選択したのか。(私が経営者なら怖すぎてできない)


勉強を始めてから約半年、今は当時の疑問が解消されつつあり、
新たな疑問の発生と知識収集が始まっているため、
当時の思考の展開を忘れないうちに書き留めておきたいと思っています。

なお、私はこの方面の専門家ではなく、ただ、史上最悪の原発事故が発生した国に住む人間として、
これからのエネルギー問題について自分の意見を持つために独学で勉強しているにすぎません。

どうぞ私の話を鵜呑みにするのではなく、ご自身の知識収集の参考としご自身で確認され、
ご自身のご意見をお持ちいただく、そのための資料収集の糸口にしていただければ幸甚です。


黙祷1.17

2012年01月17日

阪神大震災から17年。
当時の仕事の関係で、私は震災直後の深江を歩いていた。
1階と2階がおしつぶされたマンションから荷物を持って出て来た男性と目が合ったとき、
東京に帰れば侘しいながらも安全に寝る場所がある自分を心から申し訳なく思った。
私だけ無事でごめんなさい。無力でごめんなさい。

この年の4月、私は自分の社会保険労務士事務所を立ち上げた。

あれからもう17年。
いざという時、ちゃんと社会貢献ができるよう一層精進していきます。
まずは今年の分の赤十字への義援金。今年も少しだけ。あと4年は続けます。

東日本大震災義援金


年末年始のお休みのこと

2011年12月22日

今年は12月26日を仕事納め、27日を自由出勤日としています。
自由出勤日というのは、自分の仕事が終わってなかったら来ましょう、という日。
この日来てるのはダメな子ちゃんです。たぶん役員3人が来てます。おい。

いやー、かなり逡巡しましたが、思い切って、今年は1週間のお休み。
お客様皆様には大変大変ご迷惑をおかけいたしますが、
実質的なご迷惑がないよう、きっちりとお仕事を終えてお休みに突入いたしますので
何卒ご理解を賜りたく、平にお願いする次第でございます。

弊社スタッフ各位には、
1月3日の夜は、これ以上働かないと人間としてヤバいんじゃないか、というぐらいの
緊張感みなぎる就寝をしていただいて、
1月4日からフルスロットルで、健康で、お客様へ最高のサービスをしていただきたいと思ってます。

今年はいろんなことがありましたね。
いったん立ち止まって、熟考する時間も必要ね。
来年はいい年にしましょうね。


幹事の心得論

2011年12月05日

さー 忘年会の季節でございます。
ウコンと胃薬片手に乗り切りましょー♪

で、時期も時期なんで、幹事の心得論というのをブチかましてみようかと思います。

まだワタクシが●の青い若造だったころ、初めての飲み会幹事を仰せつかったときのお話です。
まあ幹事をやった会そのものはなんてことなく終了し、
へへーん、こんなのお茶の子さいさい、と高をくくっていたのですが、
その二次会で上司がお話くださった「幹事の心得」が、その後の私の心構えを一変させました。

師曰く、
幹事というものは、ホスト(招待主)でありながら黒子であり、
招待客全員に目配りをしつつ、全員と最低一言は会話を交わし、
この会話がウィットに飛んで、印象に残る会話でなければならない。

また、師曰く、
本来であれば、ホストが自宅に招き、自宅のシェフの自慢料理または家人の手料理で歓待すべきところ
「その力量が欠けているがゆえに」自宅外の飲食店を利用するのである。
よって選択された飲食店は自身が懇意にしており、絶対の自信をもって客を招待できる店でなければならない。
ガイドブックから選択することを否定しないが、客を招待する前に数度は足を運び、
その店の得意な料理、シェフの料理の特徴、フロアサービスの程度は十分把握しておくべきものだ。

となれば、店とのつき合い方も自ずと決まるものであろう。

店の独自のルールは尊重し、遵守しなければならない。
招待主として力量が欠けているという前提を忘れなければ、
自宅で使用人にあたるようなワガママが通るはずもないことは明白である。

そして、丸投げではいけない。
あくまでもホストは幹事本人であり、的確な指示と段取りを店に伝え実行させなければならない。
吟味もせずおすすめパーティセットに飛びつくようではいけない。
飲み放題セットも、招待客の好みを把握した上で適切かどうか確認すべきである。

自身の招待客が満足して帰った後、
幹事の指示通り適切に対応してくれた店には自然と感謝の言葉がでるものである。
費用の清算をもってすべて終了した気になってはいけない。
自身の不足を補ってくれた助っ人には最大限の感謝を表すべきであり、
これは人を使う立場の人間がすべからく持っておかなければならない認識といえる。


実際は、こんな説教臭くなく、
ちゃんと幹事ができてエラかったねー♪ 
あなたはきちんとできる子だと思うから、オジさんちょっと言っとくねー♪
と、ウイスキーのロック片手にへらへら教えてくれたんですけどね。

たまにネットで
デートで彼氏がレストランでこんなことしてハラたった!
なんて書き込みを見たりすると、
こういう前提の話を誰もその彼氏にしてあげなかったんだろうなあ、と
ちょこっと可哀想になったりします。

ちなみに、
ワタクシがもっとも腹立つ会食、デートはもっとハードルが低くって、
予約しないで店に連れてかれること。
並ばせられようもんなら、もう帰る。
予約もしないで人と会食しようだなんて、失礼にもほどがあると思いません?
世の紳士淑女のみなさんは、どんな親しい間柄でも、これは絶対しちゃいけません。
例えざっかけない居酒屋であったとしても、相手の座る席は前もって準備しておくもんです。


[短期集中連載]ゼークトの組織論 その3

2011年11月07日

全然短期集中じゃなくなった連載の最終回です。
本日午後イチの予定が水曜日に延期されたので、
やっとこさゲットした空き時間、このスキに書いてしまわなきゃ!

******

最終回はリーダー論です。

ここ数年、リーダーは怠け者であっていいと思っています。

もちろんカリスマ的なスーパーマン社長やリーダーは別ですが、
すべてのリーダーがカリスマではありませんし、カリスマでなければならないってこともありません。
我々平凡なリーダーは、怠け者でOKなのです。

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有能な怠け者。これは前線指揮官に向いている。
 理由は主に二通りあり、一つは怠け者であるために部下の力を遺憾なく発揮させるため。
そして、どうすれば自分が、さらには部隊が楽に勝利できるかを考えるためである。

無能な怠け者。これは総司令官または連絡将校に向いている、もしくは下級兵士。
理由は自ら考え動こうとしないので参謀や上官の命令どおりに動くためである。

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リーダーには2種類あります。
組織の下層から昇進してきたリーダーと、出自等何らかの背景でその地位に突然就任するリーダーです。

昇進型リーダーは、たいていの場合有能です。有能でなければ昇進できない。
なおかつ働き者のスタッフであった例も多い。おかげで組織上層部からの評価も高かった。

僭越ながら、それは自分だ、と思われた方。
あなたは怠け者になる努力が必要です。怠け者のフリだけでもOK。
自分が動いたほうが早い、成功率が高い、と思っているうちはリーダーになれない。

怠け者にはなれないよ、それはツラいよ、と思われる方は、
トッププレイヤーであり続ける代わりにリーダーのポジションを放棄するか、
サーバントマネージメントの概念を理解し、
サーバントリーダーとしての将来を検討していただきたい。
プレイヤーのままの視点でリーダー業をやると、どこかで破綻するケースが多い。
これはまったく違う職種なのです。

突然就任型リーダーの場合、基礎能力は高いのだが、
現段階では実務的に無能であることがあります。

功を焦らないこと。周囲の高い評価を早期に得ようとしないこと。
無能な怠け者のリーダーもアリ!とハラを括ってください。

今のあなたに必要なものは、優秀かつ善良な参謀です。
どうぞ組織の中をじっくりご覧になって。
正確な情報をあなたに提供し、誠実な提案をする有能な働き者を見つけてください。

組織外から専門家や有能な働き者を連れてきて、参謀に据えることはお勧めしません。
よりあなたの孤立を高めることがあります。

あなたの仕事は、世界にたったひとつのあなたの組織の中から、
その組織でのキャリアの長い生え抜きの優秀な参謀を見つけること、
あるいは参謀量産システムを構築することです。
そのために専門家や有名人など社外の人材を活用することはあなたのキャリアの障害にはなりません。

注意点を2点。

1点目。
あなたがどちらのタイプのリーダーでも構いません。
あなたが抜擢した他のリーダーが、本物の有能な怠け者であったとしましょう。

本物の有能な怠け者は、悪意なく他者を利用し、消費することがあります。
これは有能な怠け者の本能のようなもので、改善を要求しても、悪気が無いので繰り返すこともしばしば。

この場合にはこのリーダーの部下の様子には目を配ってやる必要があります。
時には積極的に配置転換も行いましょう。

2点目。
あなたがどちらのタイプのリーダーでも構いません。
決して職場で感情的にならないこと。絶対に怒鳴らないこと。

リーダーであるあなたの強い感情への対処を、一般のスタッフは知りません。
生まれる結果は尊敬や尊重ではなく、回避行動です。
極端な回避行動の結果、あなたには真に重要な情報すら入らなくなることがあります。
立派な裸の王様のできあがり。

とはいえ、リーダーとはストレスの多いもの、感情的になることだってあるでしょう。
あなたの参謀の前だけでなら、強い感情の吐露もOKです。
有能な参謀は、あなたの発した感情的な情報をも整理し、適切な改善策を用意するでしょう。
参謀がいない場合には、残念ながらあなたの感情を職場で披露する場はありません。

リーダーは怠け者でOK。
ただし、常にすべての情報が耳に入るルートを確保しておくこと。直接間接を問いません。

そのためには、
リーダーにはしっかりした参謀を育成してもらいたい。見つけてもらいたい。
そして優秀な参謀を正しく評価し、適切な報酬を与えること。
それがあなたの組織の基盤を強化し、成長させる一番の早道です。


がくせーい!ちゅーもーく!

2011年10月19日

なんだー! と拳を振り上げた方、早稲田のOB・OGですね。
香川県に在住でらっしゃる? あら、それは素敵。
どうぞ高松稲門会に入会ください。

え? 高松じゃなくて丸亀だったり観音寺だったり小豆島にお住まい?
全然気にしません。だいじょうぶ。どうぞお越しください。

おい、短期集中連載どうした?といってくださる少数派のみなさま、ありがとうございます。
ゼークトの組織論の3回目はリーダーに適する人材のお話をさせていただく予定です。

その原稿作成を前に、昨日私がお世話係をさせていただいた高松稲門会の10月例会がありまして、
香川の金融関係各位さまが出席者リストを見たら気管に異物が入りそうな重鎮の諸先輩方とご一緒し、
あながち3回目のお話も的を外していないかもしれないと心を強くした次第でございます。

中休みでそんなお話を。

稲門会の活動は原則として毎月例会を開催します。
企画・準備・当日の進行等お世話係は若手主体、各月のお当番が年初に決まります。
各月担当者は開催日2ヶ月前に告知を行い、会員みなさまにご案内をかけます。

今回少々手違いがあって、10月例会の企画開始が例会当日の1ヶ月前となってしまい
多少無理が効いて、失敗して怒られても気にしないよなヤツにやらせよ、ということかどうかは謎ですが、
お世話係のご指名をいただいた私と後輩の「有能な働き者」Hちゃんとで
突貫企画・幹事をすることになりました。

時間の問題でイベント的企画は無理、だったら美味しいもの食べる会にしようと決定したものの、
お料理未定のままご案内発送という崖っぷちの見切り発車。

諸先輩方からされたら、案内は間際だし、どんなメニューかもわからないし
オマエらナニやってんだ!と怒られてもいたしかたない状態ですのに、
文句もお小言もなく、重鎮のみなさまをはじめ多数のお運びをいただきました。

いつもお世話になっている地元一流ホテルのみなさまに平身低頭、無茶を聞いていただき、
総料理長には、メニュー決定のために本当にワガママを聞いていただき
今回のメインは北海道のイノシシ。秋のジビエ。
総料理長お手自ら仕込んでいただいたという感涙もののメニュー。

しかし、ご案内情報の不足が響き、受付では、
2年前、私が同様の企画として「マツタケを食べよう会」を開催したことを覚えてらしたみなさまから
「今日もマツタケでしょ?」「え、ちがうの?」「マツタケだと思ってきたのに」とみなさま半笑い。

今日は土下座かなー、と遠くを見つめつつ、司会のマイクの前にたち、
M会長に開会のご挨拶をお願いしましたところ、
「今日のお料理は、マツタケを食べて育ったイノシシのようですね。
間接的にマツタケもいただけて二倍お得! みんなで楽しんでいただきましょう」

そしてすばらしいお料理が運ばれてくると、コスト度外視の内容であることを見抜かれ、
私を近くにお呼びになり、
「今回はホテルに無理してもらったんだろう?
総料理長に私からご挨拶をしよう。なんなら私が裏まで行くから」

なんという見識とご配慮。

他のみなさまも負けてはいません。
今日は特別な演し物やイベントがないことをみなさまにアナウンスすると
ほぼ全員が「今日は我々お客様じゃなくてキャストね」と
ご着席のテーブルで楽しい会話に花を咲かせたり、
ボトルや瓶を片手にテーブルを回ったり、
中締めの時間配分などにも気を配って自発的に自然に盛り上げてくださったのです。

イベントに慣れているといえばそれまでのお話です。
(宣伝がてら申し上げると、高松稲門会に入って幹事をしてればイヤでも場慣れできますので
意識の高い若者・後輩諸氏、ぜひ来てね♪)

しかし、場の雰囲気を壊さず、ユーモアたっぷりの上品なたたずまい、
準備した内外のスタッフに配慮され、きちんと感謝の言葉を発せられる、この品格。

ご参加のみなさまの中に、身を削るような実働をされた方はいません。
ただ、場を見抜き、耳に入った些細な情報を拾い上げ、適切と思われた行動をとられただけです。

でも、私も、一緒に準備してくれたHちゃんも、
またこの方たちに喜んでいただけるような運営をしたいと心から思いました。

これがリーダーの姿でなくてなんなのだ!と。

では、このリーダーはゼークトで言うならどのタイプなのか。
次号、短期集中連載最終号!


[短期集中連載]ゼークトの組織論 その2

2011年10月17日

すっかり日が空いてしまいまして、
全然短期集中じゃない!とのツッコミありがとうございます。
1回目以来、pptで資料を作り続けておりまして、こちらに書く余力が残っておらず。

え、それってウチのアレ? と思われた方。
大丈夫です、ソレだけならこんなことにはなってません。ご安心ください。
いつもの安請け合いで同時にいっぱい重なっちゃっただけなんです。
いろいろ見通しが甘かった・・

おかげさまで今日からとってもフリーダム♪ 日常業務が再開できました。感謝♪

閑話休題。ゼークトの話。

今回は「有能な働き者」のお話です。

有能な働き者。これは参謀に向いている。
理由は、勤勉であるために自ら考え、また実行しようとするので、部下を率いるよりは参謀として司令官を補佐する方がよいからである。また、あらゆる下準備を施すためでもある。

もっとも恵まれてよいはずの有能な働き者ですが、
残念なことにもっとも不満を抱えやすい人材です。
目的と意思があるなら組織を出て、独立したほうがいい。

しかし、多くの有能な働き者は、その聡明さゆえに独立のリスクを好まず
また組織の中で認められ頭角を表す自負があるために組織に残る傾向があります。

さらに、等身大に自分を評価することができるスペシャル有能な人材は
自らが参謀向きであることを自覚することができ、尊敬できるリーダーを求めます。

もし、有能な働き者であるあなたが、
いろいろ不満はあるにせよ少なからず尊敬できると思えるリーダーと出会ったなら、
絶対に手放してはいけません。
多少の理不尽なことには目をつぶり、決して相手の瑕疵を追求しないことです。

あなたが本当に有能で働き者であるならば、
あなた以上に能力高く努力を惜しまないリーダーは存在しないと思っておいたほうがいい。
リーダーは、足りないところがあるから、参謀としての、右腕としてのあなたが必要なのです。

有能な働き者が最も幸福な職業人生を歩むためには達観が必要です。
たいていのトラブルが些細なことと思える精神の鍛錬が必要です。
とてもつらい道のりかもしれませんが、
私は組織に属している、達観した有能な働き者のみなさまを心から尊敬します。

そして、そうした幸福な有能な働き者を参謀としているリーダーは
折に触れて自分の参謀を信頼し、感謝の言葉や態度を示しています。
素直に感じた感謝を言葉にするだけでよいのです。
そういうのは苦手、というリーダーも、どうぞあなたの参謀にだけはあえて言葉にしてあげてください。

リーダーと有能な働き者は、互いに相手を尊重し、ラブラブな関係でいてほしい。
組織の安定には最も効果的なことです。


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