FRBと雇用拡大と為替・アメリカ大統領就任前日
要人発言の重要性
2017年1月20日現在、世界中が日本時間で今夜開催されるアメリカ大統領就任式での大統領の演説を注視、相場も様子見の展開となっています。
大統領選直後の勝利宣言スピーチが意外性と好感をもって世界に受け入れられたトランプ氏。
トランプショックの予想をはるかに裏切り、逆にトランプ相場と呼ばれる株高・ドル高の展開になっているわけですが、ここにきてトランプ氏の発言が様々な影響を相場に与えるようになりました。
「要人発言」といって、世界の経済に影響を与える要人の言動は相場を見る上で非常に重要です。
最近では、今も昔も重要なFRB議長の発言、少し前までは重視されていた日銀・黒田総裁の発言などが記憶に新しいところ。
2017年に入ってからは、トランプ氏の発言が世界で最も重要な要人発言ととらえられていると言って過言ではないでしょう。
注目すべきトランプ氏の発言はふたつです。
ひとつは、アメリカの雇用拡大のため、アメリカ国内に生産拠点をおくよう大企業に示唆。多くの企業がこれを是とした対応を示しています。
ふたつめは、「今のドルは高すぎる」というドル安を望む発言。
今回は、これらが相場に与える影響について考察します。
雇用拡大はアメリカの利上げを加速させる?
トランプ政権によってアメリカの雇用状況が改善した場合、アメリカの利上げは加速する可能性があります。
国家の金融政策はその国の中央銀行によってコントロールされていることが通例です。
アメリカの中央銀行機能はFRB、連邦準備制度です。
ちなみに、日本の中央銀行は日本銀行、欧州の中央銀行はECB・欧州中央銀行です。
下表のとおり、すべての中央銀行は貨幣の発行権限を持つ代わりに物価の安定をはかる責任を持ちます。どんどんお金を作り続けて過度のインフレになると大変ですから。
その中で、FRBは少々特徴的な目標を持たされています。それは「雇用の最大化」なのです。
毎月第一金曜日に発表されるアメリカの雇用統計。
このうち、非農業者部門の雇用者数が拡大していればアメリカの経済も拡大していると判断されます。
特に、FRBのメンバーがその判断をしたとき、アメリカは利上げへと向かうことが予想されます。
FRBでは年8回、FOMCという会合が開かれ、ここで利上げの是非を含めた国内の金融政策を決定しています。このFOMC直前の雇用統計はアメリカの利上げに多大な影響を与えるため、市場の注目が大変高くなるのです。
FOMCは、2017年では1月・3月・5月・6月・7月・9月・10月・12月に開催される予定です。
2017年、FRBは年3回の利上げを予定しているようです。トランプ政権によって雇用統計が改善されていけば、利上げスケジュールの前倒しや、来年の利上げ回数の増加発表があるかもしれません。
さて、アメリカの利上げは相場にどのような影響を与えるのでしょう。
過去の利上げ時期はどうだったのか
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