小規模企業共済制度を活用した相続税対策・納税資金準備 ②
退職所得とは
「小規模企業共済制度」は、死亡退職金に特化したものではありませんが、
共済契約者である個人事業主が亡くなったために遺族が共済金を受け取る場合、この共済金は税務上「死亡退職金」として取り扱われます。
ここで重要なのは、生命保険契約などと違って、毎月の掛金を積み立てて将来受け取る退職金を準備しますので、たとえば
【 1,500万円の死亡退職金 を 準備するためには 掛金の上限である 月額7万円で15年以上の期間 】
が必要になります。
このため、できるだけ早く加入した方が有利といえます。
また、「死亡退職金」ではなく、勇退時に一時金として受け取る場合 には、「退職所得」として扱われます。
この場合、収入金 (共済金)から 「退職所得控除額」 が差し引かれ、さらにその 2分の1 が退職所得となるため、所得税法上優遇されています。
退職所得控除額は、掛金の払い込み年数によって決まってきますので、この場合も長期間加入していた方が有利となります。
◎ 退職所得(生前退職金)の計算方法
(収入金額 - 退職所得控除額 ) × 1/2 = 退職所得
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
1年 | 80万円 |
2年~20年 | 勤続年数 × 40万円 |
21年以上 | 800万円 + (勤続年数 - 20年) × 70万円 |
※小規模企業共済の場合、勤続年数は加入年数
例) 加入期間30年で廃業し 2,000万円の一時金を受け取った場合
退職所得控除額 800万円 + (30年 - 20年) × 70万円 = 1,500万円
退職所得 (2,000万円 - 1,500万円) × 1/2 = 250万円