賃貸物件 ( アパート・マンション ) の建築・購入は本当に相続税対策になるの?
結論からいうと「賃貸物件の建築・購入」は相続財産の評価を引下げるため相続対策になります。
① 効果その1・・・土地の評価の引き下げ効果
賃貸物件( 貸家等 )の敷地となっている土地は、借家人の存在により土地所有者の使用等が制限されることになります。そのため自用地価額から借家人の有する権利を控除した「 貸家建付地 」として評価されます (図1参照)。
また、貸家が一等地( 評価額の高い土地 )に建っている場合には、小規模宅地等の評価減特例
(図2参照) の適用も検討する必要があります。
一般的には、小規模宅地等の評価減特例は適用面積が大きく、減額割合が高い「特定居住用宅地等」や「特定事業用宅地等」に適用するのが有利です。
しかし、図3のように「貸付事業用宅地等」に適用した方が有利になる場合もあります。
② 効果その2・・・建物の建築価格と相続税評価額の乖離による財産圧縮効果
じつは①の土地の評価引き下げ効果より建物の評価引き下げ効果の方が一般的には大きくなります。
建物は建築・購入価格より相続税評価額のほうが極端に低くなります( 中古物件には当てはまらないものもあります )。
なぜなら、建物の相続上の評価は固定資産税評価額となり、貸家の場合固定資産税評価額から借家権割合( 香川県は30% )を引いたものになるからです (図4参照)。
固定資産税評価額は建築価格の60%程度と考えますと、5,000万円で建てたアパートの相続税評価額は満室の場合 (5,000 × 60%) × (1 - 0.3(借家権割合)) = 2,100万円 となります。
満室の場合と書いたのは、例えば新築間もないアパートや長期間空いたままの貸家などで借家人がいないような場合には、土地建物所有者の使用収益権に制約はありませんので借家権割合の減額はできません。また、同様の理由から土地に関しても「貸家建付地」としての評価はできず「自用地評価」となります。
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