雑損控除の適用について
長年 注意喚起されながら、減少するどころか過去最高の被害額となっている 振り込め詐欺 や、カード社会を反映した スキミング犯罪 (カードの磁気情報を不正に取得し作成した偽造キャッシュカードや 偽造クレジットカードを使用する犯罪)、ネット社会を反映した ワンクリック詐欺 や インターネットバンキングの 不正送金、旧来からの空き巣など。
残念ながら、いつ犯罪の被害者になってもおかしくない昨今ですが、そういう社会情勢に関連した話題です。
Q. 犯罪等により受けた金銭的損失は所得から引いてもらえますか?
A. 所得控除のひとつの「雑損控除 (図1参照) 」の対象となる場合があります。
スキミング犯罪・インターネットバンキングの不正送金・空き巣などは「雑損控除」の対象となります。振り込め詐欺・ワンクリック詐欺は「雑損控除」の対象となりません。
スキミング犯罪・インターネットバンキングの不正送金・空き巣などは「雑損控除」の対象となります。振り込め詐欺・ワンクリック詐欺は「雑損控除」の対象となりません。
なんて理不尽な! と思われるかもしれませんが、「雑損控除」の対象となるのは災害・盗難・横領による資産(居住用家屋、家財、衣服、現金など)の損失等に限定されており、詐欺・脅迫・紛失などによる損失は対象とならないのです。
なぜこのように区別されているのかというと、盗難や横領は被害者の意思が介入していない不可抗力なのに対し、振り込め詐欺やワンクリック詐欺は騙されたとはいえ自分の意思が介入 (自分で振り込むなど) しているために盗難・横領の定義(《※ 参考》参照 ) に 合致せず、また、被害者本人にも過失があることが背景にあるようです。
もし、盗難等の被害にあわれた場合は、確定申告に必要なので警察から「盗難届出受理証明」を受けておきましょう。
《※ 参考》
盗難・横領の定義(過去判例より)
◆ 盗難 ⇒ 財物の 占有者の意に反し、第三者により当該財物の占有が移転されること。
◆ 横領 ⇒ 他人の物の占有者が委託の任務に背き、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をすること。
盗難・横領の定義(過去判例より)
◆ 盗難 ⇒ 財物の 占有者の意に反し、第三者により当該財物の占有が移転されること。
◆ 横領 ⇒ 他人の物の占有者が委託の任務に背き、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をすること。
詳細な適用申告要件等についてはご確認ください。
文 税理士・CFP(R) 西木敏明