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相続税調査について

相続税の調査ってどういうの?

最近 (平成27年事務年度( 平成27年7月~平成28年6月 )) の相続税の実地調査は年間11,935件行われて、そのうち9,761件で申告漏れがありました ( 図1参照 ) 。じつに申告漏れ割合81.8%という他の税目では考えられない数字です。



相続税の申告は、法人税や所得税などと違い毎年行うものではないうえに、財産を把握している方( 被相続人 )がいないわけですから故意でなくても財産の申告漏れ( 把握漏れ )が生じる可能性はあります。
税務当局による相続税の調査( 財産把握の手法 )を知ることは申告漏れをなくすことにもつながります。

◇ 相続税調査の流れ

税務調査は通常、調査対象の選定→事前準備→事前通知(日程調整)→臨宅調査( 2日程度 )→反面調査・追加確認等→指摘事項の開示等→修正申告及び納税(是認の場合修正申告はありません)といった流れで行われます。


それでは、相続税の調査時、調査管がどのような着眼点で申告漏れの財産を探すかについてお話します。

調査まえに税務署は被相続人の過去の申告状況( 給与所得、事業所得、不動産所得、譲渡所得など )や、所得が2000万円超の方が提出する「財産及び債務の明細書※1」などと提出された相続税の申告書に記載された相続財産を突き合わせ、金融機関に普通預金の入出金状況・定期預金の解約状況を照会し、地方自治体に不動産の名義照会をします。このとき、被相続人だけでなく相続人や孫名義のものまで確認します。

臨宅調査( 自宅での対面調査 )期間は2日間程度で、故人の趣味・生活状況・入院状況・故人及び配偶者の職歴などを聞きますが、これも世間話ではなく相続財産の漏れがないか確認する手続きです。また、室内のカレンダー・マッチ・タオル・香典帳・電話帳から申告書に記載のない金融機関がないか確認し、ゴルフバッグからゴルフ会員権の有無、飾ってある絵などから書画骨董の有無を確認します。
そして、金庫や仏壇・箪笥など印鑑や通帳・権利証などの貴重品の保管場所を確認( 調査管が勝手に開けることはできません )しますので相続と関係のないものはあらぬ疑いをかけられないよう別途保管しましょう。そして、故人の印鑑は空押しし最近の使用がないかを確認したうえですべて印影をとります。これは、筆跡とあわせて「名義預金」の確認のためです。
また、事前に確認してあった通帳からの大きな入出金等の内容を確認します( 預金通帳からは多くのことがわかります。たとえば直前の引き出しや配当金の振込・保険料の支払いから申告書に記載のない現金・株式や保険契約がないか確認できます )。


このように、預貯金には多くの情報が詰まっているわけですが平成27年度税制改正でマイナンバー制の導入にあわせ税務当局がより効率的に情報収集できる改正が行われます。


(※1) 平成27年度税制改正により「財産債務明細書」は「財産債務調書」に名称変更され提出義務者の範囲も見直されました。
(提出義務者…所得金額2千万円超 かつ、その年12月31日の財産が3億円以上またはその年12月31日有価証券及び未決済デリバティブ取引等の合計額が1億円以上の者)
また、未提出の場合、所得税の過少申告加算税が5%加重されます(提出した場合、所得税・相続税の過少申告加算税が5%軽減されます)。

次は、マイナンバー制の導入にあわせた改正について、説明します。

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