「贈与と名義預金について」
今回は贈与と名義預金についてのお話です。
まずは、贈与税の改正内容について見ていきましょう。
「贈与税の改正内容」
平成27年より贈与税も最高税率を相続税の最高税率に合わせる改正とともに、20歳以上の者が直系尊属(父母、祖父母等)から贈与を受ける場合には、一般の贈与よりも低い贈与税率が適用される措置が設けられました(図1参照)。
贈与の最高税率は50%でしたが改正により最高税率は55%となっています。ただし、55%が適用されるのは高額の贈与の場合です。
「贈与における注意点」
親から20歳以上の子へ、祖父母から20歳以上の孫へという一般的な贈与の場合、前述のように課税価格(基礎控除後贈与額)3000万円以下の贈与では贈与税率が低くなりました。
そのため、相続税の限界税率と比較して有利な場合は、贈与税を払ってでも贈与を活用するケースが増えてくると考えられます。
しかし、多いのは贈与税のかからない110万円の基礎控除以内の贈与ではないでしょうか。
申告も不要、贈与税もかからないとはいえ、安易な贈与が認められず相続税の調査で問題となるケースが多いため注意が必要です。
たとえば、祖父が孫の将来ために毎年孫名義の通帳に110万円ずつ預金していました。
相続が発生した場合、この預金は誰のものでしょうか?
答えは、実質判断で分かれます。
贈与は民法で「当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することによって、その効力を生ずる」とされています。
つまり、あげる側(贈与者)ともらう側(受贈者)双方の合意が必要となります。
そのため、子の将来のためにこっそりと貯めた預金(通帳も印鑑も祖父が保管)は贈与が成立していませんので祖父の相続財産として扱われます。
いわゆる「名義預金」です。
では、「名義預金」かどうかの判断基準について見ていきましょう。
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