「相続・贈与に関係する平成31年度税制改正」について~その1~
②特定事業用小規模宅地特例の適用要件の強化
「小規模宅地等の特例」は、過重な相続税負担で相続人の居住や事業の継続に支障がでない様に配慮するという目的で創設された制度です。
しかし本制度が本来の趣旨に沿わない形で利用されてきたため平成30年度税制改正において「居住用」と「貸付用」の小規模宅地特例の適用要件が厳格化されました。
昨年に引き続き、「特定事業用宅地等」(400㎡まで80%減額)についても制度目的に沿わない特例利用を排除するための改正が行われました。
改正の内容は、相続開始前3年以内に事業用に使い始めた土地は「特定事業用宅地等」には該当しないというものです。
これは、節税目的の駆け込みで適用要件を満たせないように講じられた改正です。
ただし、3年以内であっても当該土地上に土地評価額の15%以上の減価償却資産(建物・機械装置等)を設けている場合には、本特例目当ての駆け込みではなく事業を行う意思があるものとして「特定事業用宅地等」に該当することになります。
このために、3年を超えるまでは減価償却資産が当該土地価額の15%以上になっているか毎年チェックしておく必要があります。
また、2019年3月31日以前から事業用として使われている土地には3年のしばりはありません。
なお、個人の宅地上で同族会社が事業を行っている場合に適用される「特定同族会社事業宅地等」の小規模宅地特例については今回の3年以内除外の改正対象となっていません。
《適用時期》
2019年4月1日以降の相続等に適用されます。
さいごに
相続・贈与にかかわらず各種税制は、使い勝手が悪い場合には要件を緩和したり、設定当初に想定していない節税利用には要件を強化したり毎年変わっていきます。
相続対策等もその影響を受けますので税制改正はつぶさにキャッチアップしていきましょう。
詳細な適用要件等は専門家に確認しましょう。
文 税理士・CFP(R) 西木敏明