「路線価」の動向について
「地籍規模の大きな宅地」に該当した場合の土地の評価
「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となるのは、戸建住宅用地としての分割分譲が法的に可能であり、戸建住宅用地としての利用が標準である地域にある宅地となります(図5参照)。
路線価地域においては普通商業・併用住宅地区および普通住宅地区に所在する宅地、倍率地域においては大規模工業用地に該当しない宅地が対象となります。
面積要件は
・三大都市圏…500㎡以上の地積のもの
・三大都市圏以外…1000㎡以上の地積のもの
が対象となります。
「地積規模の大きな宅地の評価」では、「規模格差補正率」により「地積規模の大きな宅地」を戸建住宅用地として分割分譲する場合に発生する次のような減価を反映させます。
・戸建住宅用地としての分割分譲に伴う潰れ地の負担による減価
・戸建住宅用地としての分割分譲に伴う工事・整備費用等の負担による減価
・開発分譲者の事業収益・事業リスク等の負担による減価
評価の算式と「規模格差補正率」については図6を参照してください。
計算例図7のように「規模の大きな宅地の評価」では土地の形状等によっては評価額大きな差が生じる場合があります。
これまでマンション適地や、公共公益施設用の負担が発生しないなどの理由から「広大地評価」の適用が難しいとされた土地も適用要件の明確化で「地積規模の大きな宅地の評価」の適用対象となる場合もありますので、評価の見直しとあわせて確認してみてください。
「路線価図」に載っていない場合
路線価は日本国中の道路に付されているわけではありません。
評価しようとしている土地が路線価図に載っていない場合は路線価地域ではなく倍率地域と考えられますので、国税庁ホームページで公表されている「評価倍率表」を用いて計算します。
さいごに
土地の相続・贈与における評価額を把握することは大事ですので、「正面路線価×地積」という概算でも構いませんので一度計算してみることをお勧めします。
今回、例示した土地評価は、分譲地のような整形地を基準としていますが、間口が狭い土地や奥行が長い土地、形の悪い土地など土地には個性があります。
その場合は、間口狭小・奥行長大補正率や不整形地補正率などを用いて計算することになります。
詳細な適用要件等は専門家に確認しましょう。
文 税理士・CFP(R) 西木敏明