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相続税の調査と重加算税について

「重加算税」が課せられる場合とは

 納税者が税額の計算の基礎となる事実の全部または一部を隠ぺいまたは仮装し、その隠ぺい等に基づいて申告書を提出していた場合には重加算税が課せられることになっています。
 ここでのキーワードが「隠ぺい・仮装」です。

「隠ぺい・仮装」とは

 国税庁の運営指針では、「隠ぺい・仮装」に該当する「不正事実」とは次のようなものであるとしています。

  1. 相続人等が、帳簿、決算書類、契約書、請求書、領収書その他財産に関する書類(以下「帳簿書類」という)について改ざん、偽造、変造、虚偽の表示、破棄または隠匿をしていること。

  2. 相続人等が、課税財産を隠匿し、架空の債務をつくり、または事実をねつ造して課税財産の価額を圧縮していること。

  3. 相続人等が、取引先その他関係者と通謀してそれらの者の帳簿書類について改ざん、偽造、変造、虚偽の表示、破棄または隠匿を行わせていること。

  4. 相続人等が、自ら虚偽の答弁を行いまたは取引先その他関係者をして虚偽の答弁を行わせていること及びその他事実を総合的に判断して、相続人等が課税財産の存在を知りながらそれを申告していないことが合理的に推認し得ること。

  5. 相続人等が、その取得した課税財産について、例えば、被相続人の名義以外の名義、架空名義、無記名であったこともしくは遠隔地にあったことまたは架空の債務がつくられていたこと等を認識しその状況を利用して、これを課税財産として申告していないことまたは債務として申告していること。

 分かりにくい文章ですが、要は「故意・意図的」に脱税行為を行った場合には、「重加算税」の対象ですと言っています。

 また、重加算税の要件は「隠ぺい・仮装」ですが、それに加えて、当初から相続税を過少に申告する意図をもって、「外部からもうかがい得る特段の行動」をしたうえで、その意図に基づいて過少申告をした場合にも重加算税の賦課要件が満たされるとされています。

 「外部からもうかがい得る特段の行動」とは、書類の偽造・ねつ造、虚偽の答弁、税理士等への資料の秘匿、調査等への非協力など脱税の意図を認定できるだけの行為や事実・資料と考えます。

 つまり、うっかりしていたとか相続財産と認識していなかったという場合には原則「重加算税」の対象にはならないということです。

では、これらを踏まえて、重加算税の賦課となったケースとならなかったケース(重加算の賦課決定が取り消されたケース)を具体的に見てみましょう。


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