贈与税とは
相続税を補完する贈与税
贈与税の各種特例は過去何度も説明していますが、そもそも「贈与税」ってどんな税?という点を今回見ていきたいと思います。
ちなみに、法律の中に贈与税法という法律はなくて相続税法の中に規定されています。
相続税は、人が亡くなり、その財産を受け取った人に対して課税することにより富(財産)を再分配し格差を是正する機能があるとされています。
もし、贈与税がなければ生前にすべて子にあげてしまえば相続税は機能しなくなります。
そのために、相続税を補うために贈与税があるといえます。
贈与とは
贈与とは、個人間の契約による財産の無償提供です。
「個人間」に限られますので、例えば法人から金銭等の財産をもらった場合は「贈与税」の対象ではなく「所得税」の対象となります。
営利を追求する法人から法人と無関係の個人が無償で何かをもらうとすれば公募懸賞金などが想定できますが、この場合「一時所得」として「所得税」の対象となります。
蛇足になりますが、最近発表のあったノーベル賞や来年開かれるオリンピックでのJOCからの賞金(報奨金)は「非課税」として取り扱われることになっています。
ただし、オリンピックで活躍した選手が所属する会社から報奨金等の名目で金銭等を受け取った場合は「給与所得」として課税されます。
また、贈与は「契約」ですので、あげる人と貰う人双方の合意によって成立します。
双方の合意がなく、一方的にあげたことにしている場合は名義財産(代表例:名義預金)として贈与はなかったものとして取り扱われますので注意が必要です。
口頭契約も契約ですが、合意があったことを明確にするためにも「贈与契約書」を作成した方がよいでしょう。
贈与の対象となる「財産」ですが、現預金・有価証券・土地建物などの不動産・貴金属・書画骨董などの金銭的な価値のある有形のものは分かりやすいのですが、贈与とみなされる「みなし贈与財産」というものがあります。
具体的には相場より格安に譲り受けた財産(低額譲渡)、借入金等の支払いを免除された(債務免除)などです。
そのほかにも、本来支払うべき費用負担なしに取得した信託受益権・保険金・定期金などがあります。
低額譲渡の場合、「無償」ではないので贈与に該当しないとなってしまうと時価5000万円の不動産を50万円で譲渡(売買)するといった相続対策が可能になるなど相続税を補完する贈与税が有名無実化してしまいます。
なので、時価より著しく低い譲渡対価の場合のその差額については「みなし贈与財産」として贈与税の対象となります。
「著しく低い」という場合の明確な判断基準はなく、個別の事情等を勘案して判断されます。
なお、まったくの他人間(第三者間)ではこの問題は生じません。
金銭等を渡しても贈与の対象にならない場合もあります。
親子間や夫婦間などで教育費や生活費を必要な都度渡している場合や、常識の範囲内での香典・見舞金・季節の贈答なども贈与税がかかりません。
都度ではなくまとまった資金を渡す場合は、「住宅取得資金贈与の特例」「教育資金贈与の特例」「結婚子育て資金贈与の特例」「夫婦間のマイホーム贈与時の特例」などの特例を活用すれば(一定の要件を満たしている場合には)贈与税がかかりません。