自信過剰バイアスに注意 (行動ファイナンス その2)(2)
誰でもかかりやすい自信過剰バイアス
利益確定を経験した投資家は、知識と経験が増えると自分が描いたシナリオの実現精度もあがったように思ってしまう傾向があるようです。
世界中の政治経済のさまざまな要素に影響を受けて、株価や為替レートは推移しています。
過去のできごとや相場の動きや、ましてやひとりの投資家の知識・経験水準によって決まるものではありません。
なのに、なんだかうまくいくような気がしてしまう。
このバイアスを、行動ファイナンスでは自信過剰バイアスと呼んでいます。
自信過剰バイアスにかかると、自分が選んだ商品は他の商品よりも早く高く値が上がると思い込んでしまったり(支配の錯覚)、想定しないような悪いことは起こらないと損失の可能性を過小評価したり(過度の楽観)しがちで、充分な検討をしないままに商品の売買を決めてしまうことが多くなります。
こんなふうに考えていませんか
□ 運用を始めたころよりも知識も経験も増え、うまくいく可能性も増えたはず。
□ 私が選んだ商品は値上がりする可能性が高い商品になる気がする。
□ 運用の失敗は運が悪いからだ。私はとても運がいいようだ。
運用で利益を確定した後、ウキウキした気持ちでこんなことを考えたなら、もしや自信過剰バイアスに陥っていないだろうか、と自分に問いかけてみてください。
運用に関しては、自力でなんとかしようという努力はあまり実らないことが多いように思います。
相場の流れに自分を同調させる姿勢が大切で、客観的な確率論を第三者の目で冷静に判断する、どちらかといえば他力の姿勢が良い結果を生みやすいようです。
まずは、確定拠出年金の運用は、
1. 月額掛金にてドルコスト平均法で取得単価を押さえながら購入、
2. 各商品の利益率の相場あたりにきたらきっぱりと売却、
3. 増えた資金は安全運用をキープ、
この3ステップが基本形とご理解ください。
長期運用の姿勢や相場の流れに合わない無理な売買行動に自分を追い込まないことも、成功の秘訣といえます。
文 FP 西木雅子
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