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確定拠出年金での利益確定について(2)

経済ニュースへの感心と相場感

決断のためには、今の相場がどのような状態なのか、
つまり、天井値圏なのか底値圏なのかが把握できなければいけません。

まずはなるべく長いチャートを確認し、過去の高値・安値を覚えておきます。
あとは、できれば週一度のペースで値動きのニュースを確認する習慣をつけること。
朝9時過ぎに始まり、11時30分過ぎ、15時30分過ぎ、以後夕方から夜のプライムタイムにはたいてい放送・お知らせしていますので、ライフスタイルに合った時間にTVやラジオのニュースに注目するだけでOKです。

以下、近年の日経平均株価・NYダウ・ドル円の為替相場を確認しましょう。

日経平均株価の場合

近年20年間の日経平均株価は、7,000円付近が底値、21,000円付近が天井値。



底値と天井値の中間値が14,000円、ここから天井値との中値が17,500円。
17,500円を超えてきたら、ここ20年では概ね高い水準の株価と見るべきです。
中間値と底値の中値が10,500円。10,500円を下回るようならここ20年来での安値圏と見ます。

確定拠出年金の加入者は、17,500円の声をニュースでとらえたら、個人資産残高を確認しましょう。
これまでドルコスト平均法で購入してきた日経平均株価やTOPIXのインデックスを、今売却して35%の利益がとれるようなら、「売却してももったいなくない」水準です。
日経平均株価やTOPIXのアクティブなら、45%の利益がとれていたら同じく「もったいなくない」水準とみましょう。

NYダウの場合

NYダウは、7,000ドル付近が底値、19,000ドル付近が天井値です。



底値と天井値の中間値が13,000ドル、天井値との中値が16,000ドル、底値との中値が10,000ドルです。
16,000ドルを超えてきたら、ここ20年では概ね高い水準の株価と見るべきです。
10,000ドルを下回るようならここ20年来での安値圏と見ます。

海外株式指数のインデックスを保有している方は、16,000ドルを超える水準となったら資産残高を確認し、利益率が40%付近であれば、売却して惜しくない水準。
海外株式指数のアクティブであれば、利益率50%付近を目安としましょう。

海外株式指数のインデックス・アクティブは、次にご覧いただくドル円の為替相場の影響も受けます。
まずはNYダウから高値圏を感覚的につかみ、想定利益率に届いていないときには、ドル円の状況を加味して判断するとよいでしょう。

ドル円の為替の場合

ドル円の為替相場では、1ドル80円付近がドルとしての底値、120円付近が天井値です。



中間値1ドル100円から、天井値までの中値が110円、底値までの中値が90円。
1ドル110円を超えてきたら高値圏、90円を下回るようなら安値圏と判断します。

確定拠出年金のスタンダードな商品ラインナップでは、
ドル円の為替の影響は、海外株式のインデックス・アクティブに表れます。
最近は海外債券のインデックスでは、ユーロの比率を下げアメリカ国債を多く購入する傾向にあり、こちらにも影響を及ぼします。

海外債券インデックスであれば、25%程度の利益が確定できるなら相応の相場感といえましょう。

購入タイミングの天井値にも応用

ドルコスト平均法で淡々と買い続け、高値圏に来たら深追いしすぎず利益確定することが、
確定拠出年金運用での基本スタイルです。

しかし、できれば安値圏だけで購入していきたいという方は、上記から安値圏の相場感を持ち、
安値圏を超えてくるようなら来月掛金での購入を別商品に振り返るのも良い選択です。

また、利益確定した資産が定期預金などに仮置きされており、
投資信託の購入タイミングを計っているのであれば、同じく安値圏での預替を検討してください。

その場合には、行動ファイナンスの自信過剰バイアスなどに悪影響を受けていないかどうか、自制しながら決断していくようにしましょう。

恣意的な運用は、何よりもハイリスクの運用となるものですから。



文 FP 西木雅子

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