相続 ( 遺産 ) をめぐる争いを避けるための争族対策について(2)
ただし、「遺言」は万能ではありません。遺留分を侵害している場合はやはり争いの火種となります。
( 相続発生前に「相続の放棄」はできませんが「遺留分の放棄」は可能です。ただし、相続人の同意を得たうえで家庭裁判所の許可が必要なためハードルが高いといえます。また、「遺言」がない場合は、「遺留分の放棄」があった場合でも相続の放棄はしていないため分割協議に加わることになります。 )
◇ 遺留分とは・・・法定相続人が最低限相続できる一定割合の相続財産
このため、「遺言」に加え以下の対策を並行して行うこととなります。
㋑ 生前贈与の活用により渡したい財産を渡したい人に移転します。
㋺ 代償交付金 の準備対策をします( 相続財産の全部または大部分を特定の相続人が受け取る代 わりに、その相続人が他の相続人に、自分の持っている金銭等を渡して ( 「代償交付金」と いう ) 、他の相続人の相続分等を満たす分割方法を「代償分割」といいます )。
㋩ 分割しやすい資産内容に組み替えます。
「遺言」と㋑~㋩の対策の組み合わせにより前述①~⑤までのようなケースでも争いを防ぐことができます。
① の場合
「遺言」により同居の相続人等に自宅を相続させる意思を明確にします。
② の場合
「遺言」により配偶者に全財産を渡すことを明確にします ( 兄弟姉妹に遺留分はありません )。
③ の場合
「遺言」により誰に何を渡すか明確にします。
④ の場合
生前贈与 ( 暦年贈与や相続時精算課税制度の利用 ) により財産を計画的に移転するとともに、「遺言」により事業後継者に事業用資産を相続させることを明確にします。
⑤ の場合
法定相続人以外は財産を受取る権利がないため「遺言」により財産を渡します。
② のケースを除き遺留分を侵害しないように、その他の相続人に渡す ㋺ の「代償交付金」を生前贈与や生命保険金を活用し準備します。
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