相続 ( 遺産 ) をめぐる争いを避けるための争族対策について(3)
納税資金確保対策とは
相続税が発生する場合、円滑に遺産分割が整ったとしても、その相続税を納める原資がなければ相続人の生活を圧迫してしまいます。
そのため万一の時の納税資金準備も重要な対策となります。
対策手段は千差万別ですが一般的には以下のような方法があります。
① 生前贈与による納税資金の準備
金銭贈与や収益を生む財産の移転により相続人の納税資金を準備します。
また、短期間で値上がりした上場株式は贈与向きです。
② 生命保険の活用
前記「代償交付金」( ※ 2ページ参照 ) 準備と同様ですが、非課税限度範囲内 ( 500万円 × 法定相続人の数 ) は相続対象の契約形態を利用します。それを超える保険契約は 「相続税」と 「所得税 ( 一時所得 ) 」 の税額を比較し有利な方を選択し加入します。相続人が保険契約者となるケースで、保険料負担が困難な場合は、金銭贈与等で対応します。
③ 不動産の売却や事前準備
必要性の低い不動産を分割しやすく、また納税資金にもなる金銭に換えます。また測量等が必要な場合、相続後であれば相続財産から差し引けません。そのため事前におこなっておきます。
④ 必要な不動産と不要な不動産の交換による物納対策等
物納は、相続財産が対象となるため被相続人が所有する必要な不動産と相続人が所有する不必要な不動産を交換しておきます。
また、交換後に物納せずに売却して納税に充てる場合でも「相続税の取得費加算の特例」が使えるため有利となります。
※ 会社オーナーの場合
⑤ 死亡退職金・弔慰金の活用
死亡退職金は生命保険金と同様に非課税枠 ( 500万円 × 法定相続人の数 ) があり弔慰金にも一定の非課税枠があるため会社に資金力がある場合有効です。
⑥ 金庫株の活用
会社に資金力がある場合、相続人が相続した自社株を会社に買い取ってもらい納税資金に充てます。
最後に
年末年始はご家族が揃う時期です。相続をタブー視せずに話し合う機会をもたれてはいかがでしょうか。
詳細な適用要件等は専門家等に確認しましょう。
文 税理士・CFP(R) 西木敏明
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